先日、保育環境セミナーの実践発表の中で、
ある保育園さんの食事に関する実践がありました。
その保育園は
「給食を残す子どもがほとんどいない保育園」
ということで地域では有名になり、テレビでも取り上げられており、
セミナーの自園紹介でもそのテレビニュースの映像が使われていました。
給食が苦手な子を直そうとするのではなく、
給食が苦手になる理由や環境を取り除くということ。
給食が嫌いになる理由にはいろいろとあるかと思いますが、
発表をお聴きしていてそうだなと感じた理由に
・食べる量を大人が決めること
・食べるタイミング、食べ終わるタイミングを大人が決めること
・食べる仲間を大人が決めること
であることを感じました。
子どものその日の体調や「今」の好き嫌いを受容せず、
栄養素として必要だからと量を提供することは
結果として「食への興味や意欲」を失い「残飯」を増やすだけでなく、
「自らの身体が必要とする量」を自ら摂取し、調整する力を失い、
結果「肥満」などにつながるという研究結果は、授乳からすでに言われており、
この負の環境を子どもたちから取り除いていくことが
食への意欲や興味関心、そして健康な体作りにつながるということで、
・それぞれの料理や料理の中の食材についても食べる量を自ら申告できるセミバイキング
・その日の体調にあわせて自ら食事のタイミングを決められる柔軟な昼食時間
・食べる仲間を自ら決められる
という環境に変えていくことで給食嫌いが減り、
主体的で健康な子どもたちが増えていったそうです。
保育所保育指針にも、「食事」の発達過程がありますが、
まさにこの
「食べなれないものや嫌いなものでも少しずつ食べようとする」
という発達に対して、
「食べさせる」や「体験させる」ではなく、
子ども自身が選択できることを重視し、
子どもの「意欲」や「態度」が自然と養われる
環境づくりに徹していらっしゃる姿には、
保育だけでなく、人の道としての凄みを感じます。
ミマモリスト
眞田 海