最近はどこのスーパーにも数多くのブランド米が並んでいますが、ほんの数十年前までは「東の横綱ササニシキ、西の横綱コシヒカリ」と言って、ほぼ2種類のお米が市場を占めていました。
もしかすると20代の方の中には「ササニシキ」を知らないという人もいるかも知れません。
なぜなら「ササニシキ」は今や全国の米作付面積はわずか1%という希少米となってしまったからです。
その発端は1991年に起こったフィリピンのピナトゥボ山の大規模噴火でした。
およそ400年ぶりに起きた噴火で吹き上げられた大量の火山噴出物は成層圏まで達し、長期間残留し続け、風に乗り全世界に広がっていきました。
れにより地表に達する太陽光は5%減少し、地球の気温を約0.5℃下げることになったのです。
たった0.5℃と思いがちですが、「冷夏」となったこの年、寒さに弱い「ササニシキ」は大打撃を受けました。
発育不良によりほぼ全滅したのです。
当時、コシヒカリに次ぐ生産量を誇っていたがササニシキです。
そのダメージは日本の食卓を直撃しました。
覚えているでしょうか?
国産米の収穫量不足から日本国政府によって大量のタイ米が輸入された、いわゆる1993年米騒動です。
このことをきっかけに天候に左右されやすいササニシキからコシヒカリへと移行する農家が急増し、多くのスーパーからその銘柄は姿を消したのです。
噴火から2年という歳月をかけゆっくりと拡散していった悪夢。
決して遠い国の話などではないことを実感します。
いま地球規模で異常気象や地殻変動が起こっていると言われています。
世界中の国々が地球温暖化問題に取り組んでいる一方で、人が住みやすくなるための開発を競って推し進めています。
その行動は矛盾しているようですが、発想はどちらも「人間」が中心。
地球は人間が生存するために必要な器。だから守らなければなりません。
そして多少自然を破壊してでも人間にとって住みやすくなるなら平気で壊してしまうのです。
つまりは「我」、根底にあるのは「自分さえよければ」という発想なのです。
各国が「我」を捨て去り「本当の住みやすさ」をとことん話し合い、その理想を共有できたなら、もっと地球温暖化も止めることは容易いのかも知れませんし、戦争など起きないのではないかとも思います。
そんな世界になってほしいと願いを込めつつ・・・。
ミッションパート
佐藤真樹