両親が亡くなって10年。
なんとなく家族との思い出を整理するのが躊躇われ、これまで実家の家財道具をそのままにしていたのですが、知人に家を貸すことになりこの機会に家の中のものを思いきって処分することにしました。
姉と共に8年ぶりに訪れた我が家は、あちらこちら傷んではいたものの昔と変わらない温かさで私たちを迎えてくれました。
家中の窓をすべて開け放つと、まるで私たちが来るのを待っていたかのように心地よい風が吹き抜け、一瞬で子どもの頃の記憶が蘇ってきます。
女子ふたりでの片づけは、もはやお祭り状態。
納戸から物を引きずり出すたびに、忘れていた思い出が溢れるように話も尽きることがありません。
小学校で使っていた鍵盤ハーモニカにたて笛。
中学時代ハマったフォークギター。
どれもこれも新品のような保存状態に驚きです。
最後に押し入れの奥から出てきたのは、二人の小・中・高校の卒業証書と賞状の数々・・・。
それは私たち二人が、子どもの頃それぞれ何が得意だったかを物語るものでした。
両親は生前、出来るだけ私たちに負担を掛けないようにと、入院中に何度も家に帰っては荷物を少しずつ処分していました。
大切にしていた簪や帯、草履に万年筆やカメラなども、友人や兄弟にあげたり捨てたりしていたました。
ところが子どもの賞状だの楽器だの、絶対になくなっても困らない、きっと必要な瞬間は永遠に訪れないであろう、そんなものをこんなにも大切に残してくれていたのです。
今更ながら親の愛情の深さに頭が下がります。
今回の遺産整理という特別な帰郷は、家族との思い出という宝探しをしているようで、どこか懐かしく、それでいて今も家族が揃ってそこにいるような不思議な気持ちになる旅でした。
ミッションパート
佐藤真樹