週末に友人の紹介で、東京の世田谷区でベビーシッターをされているMさんとお会いする機会がありました。
その方は、子どもの頃に受けたトラウマやブロックを遊びながら外してしまう「アートセラピー」という形式のワークショップを大人向けにも行っている方とのことで、
まだお逢いしたことのないその方のことを想いながら、何か喜んでもらえるものは無いかと考えて頭に浮かんだのが、人間学を学ぶ月刊誌『致知』のある記事でした。
2016年9月号『人は笑うから楽しくなる』
3年ほど前の記事ではあるのですが、この中でクリニクラウン(臨床道化師)の塚原成幸さんが仰っていた言葉がずっと頭に残っていて、Mさんの今後の活動の何か参考になるのではないかと直感したため、コピーお渡ししたのでした。
その塚原さんの言葉とは「やっぱりお母さん」というもの。
塚原さんは「臨床道化師としての一番の仕事は、やはり子どもたちを笑顔にすることですか」との問いに、文中でこう答えています。
「(病院にいる子どもたちが)笑えるまでの助走期間を担うのが臨床道化師の役目なんです。笑わせるところを僕たちが取ってしまったら、それは横取りなんですよ。子どもたちが笑って関わって欲しいのは、日々お世話をしてくれている看護師や主治医の先生、…そして親御さんたちなんです。」
「僕たちがどんなにステップを練習してダンスしたり音楽を演奏しても、刺激にはなりますけど子どもたちの表面温度を温めるだけで心の奥底には届きにくい。ところが、お母さんが苦し紛れのステップを踏んで汗だくになっていると、子どもたちは表情を崩して笑うんですよ。」
「やっぱりお母さんなんだなと実感してもらうことが一番の役割ではないかと思っています。」
カグヤの「コンサルティング」というものも同じく、私たちが仮に園の問題を直接的に解決したのだとしたら、相手には(一時的には)喜んでもらえますが、根本が解決していないため問題は再発し、また私たちが呼ばれ…それはビジネスの視点で見れば常に「依存的な顧客」が生まれる訳ですから、会社として仕事も増え、売り上げも上がり、良い事だと思われるかもしれません。
しかし、本来の私たちが目指している目的から考えれば、園自身が問題を解決できるよう、園の先生方の力を信じ、それが出来るための環境を用意したり、寄り添ったりしていくことこそが本当は大切なことだと思っているので、「コンサルティング」という言葉や在り方自体が一般とは違うのだと思っています。
これは医療や農業も同じく、医者も患者にクスリを出して対症療法を行えば、依存した患者は増え続けることになる。農業も土づくりではなく、肥料や農薬に安易に手を出せば、それに依存した不自然な体質になっていく…。
私は『蘇れ生命の力』で紹介されている、小児科医の真弓定夫先生のお考えに共鳴していますが、塚原さんの言葉にあった「やっぱりお母さん」というのは、人個人で言えば「やっぱりあなた自身ですね」「あなたの持つ生命力のお陰ですね」と言ってあげて、その人の自信(自らを信じること)を取り戻し、依存ではなく自立に向かうお手伝いなのだとも感じています。
『致知』は人間学を学ぶ月刊誌、本質を観て頑張っている方々の生き方から、大事なものを学び活かしていきたいと思います。
ビジョンリスナー
大河内 盛友