師も走る師走。
年末は何かと忙しいのは大人も子どもも一緒。
そんなイメージを持っているのは、毎年定例になっている、子どもの頃の手伝いの記憶によるものです。
冬休み目前、学校から帰宅すると決まって母から「ちょっと手伝って」と声をかけられるようになります。
台所に行くと新聞を広げたテーブルにハサミとスルメ数十枚が置かれていて、母が「お願いね」とひと言。
私は無言でハサミを片手にスルメを細く切り始めます。
それは冬の風物詩のごとく毎年この時期訪れる我が家の情景。
そしてこの作業は、ご飯を食べ終わりお風呂に入った後も、寝る直前まで続きます。
さらに言えば、スルメ切りが終わると次は枝豆剥きが始まります。
茹でた大量の枝豆を、さやからひたすら取り出していくのです。
この諸々のルーティンは冬休みに入ってからもしばらく続きます。
こうして冬休みの宿題と格闘しながらも同時に手伝いもピークを迎え、ただならぬ師走の慌ただしさを、大人同様、子どもも体感するのです。
さて、こんなに手が硬直するほど頑張ってつくったスルメや枝豆は何かといいますと、おせちの定番郷土料理「イカにんじん」や「豆数の子」となって“おせち”の一端を担います。
いま思い返せば、この年末のお手伝いには家族で新年を迎える心構えだったり、郷土の味を子へと伝える親心だったりが溢れていたように感じます。
今年の年末は、懐かしい子どもの頃を想いながら、久しぶりに「イカにんじん」と「豆数の子」を作ってみようかと思います。
ミッションパート
佐藤真樹