こんにちは。女将です。
所用で以前住んでいた町に行きました。
3年ぶりくらいでしょうか・・・。
各駅停車しか止まらない小さな町。
なのに美味しいお店が沢山ある町でした。
中でも一番のお気に入りは
おじいちゃんとおばあちゃんが営むパン屋さん。
木造二階建ての小さな長屋で、
幅一間ほどのガラスケースに昔ながらの商品が並ぶ
昭和を思わせる、どこか懐かしい感じのお店です。
ちょっと高めのガラスケース越しに触れる
おばあちゃんの手は、いつも温かかく、
毎朝、おじいちゃんが作るパンはどれもフワフワで、
ほんのりとした甘さが、気持ちをほっこりさせてくれました。
お店の売りは、おばあちゃんが作るお惣菜が入った惣菜パン。
ダントツの人気はカレーパンとソーセージパンです。
カレーパンのルーは大きめ野菜がゴロゴロ入った甘口で、
サクッと揚がった生地に油のしつこさはなく、
何個でも食べれてしまう絶品です。
ソーセージパンに使用するソーセージは、
今どきの洒落たウインナーなどでは決してなく、
庶民の見方、魚肉ソーセージ。
すっかり辛味が抜け、
ふんわり香りがする程度に整ったのマスタードと、
お邪魔にならない、節度を心得たキャベツの千切りが、
控えめなマヨネーズとベストマッチした幻の一品です。
そんなパンがまた食べたくて、仲むつまじいふたりに会いたくて、
踏切を渡って、ゆるやかな坂道を下りて、交差点の手前、すぐ。
でも、そこにあったのは、、、、、、、
大きな真新しいマンション・・・。
パン屋さんの隣の金物屋さんも、その隣の和菓子屋さんも
今は整体院と美容室に姿を変え、新しい時間を刻んでいたのです。
それは、私の中で思い出に変わる瞬間でした。
心の奥に堪えようのない寂しさが募ります。
聞くところによると、お店を閉めて3年くらい経つそうです。
ちょうど私が引っ越した後くらい。
知っていたなら伝えたかった。
「ここのパンが大好きでした。ありがとうございました。」と。
今はただ、あのご夫婦がいつまでも
お元気でいらっしゃることを祈るばかりです。
ミッションパート
佐藤真樹