役所の方からお願いされたのは、
「ある高齢者の方をお連れして、家まで戻り、
浸水して室内に散乱したものを片づけてほしい」
という事でした。
役所に避難しているおじいさんを車でお連れし、
ご自宅へお邪魔しました。
右を見ても左を見ても、2M近くの壁までが水没した後があり、
家屋も一階は壊滅的です。
10日経った現在でも復興はまだまだほど遠く、
浸水したものを運び出すこともまだままなりません。
住民の方にお話をお聞きすると、
「いくらやっても目途が立たないし、もう心が滅入ってきちゃうんだ。。。」
と仰います。
せめてもの思いで、お手伝いをさせて頂き、
おじいさんにはいるものといらないものを判断頂き、
一緒にそばにいて頂きました。
何もかもが泥にまみれて水に浸かり、腐りかけている状況で、
おじいさんの気持ちになろうとしても、本当のところは分かりません。
それでも、ただ片づければいいわけでもなく、なんでも捨てればいいわけでもなく、
おじいさんの気持ちに寄り添う事が大切なのだと感じ、
一緒に時を過ごしました。
そして4時間、家具から畳から何から何までが
水に浸り、腐り、想像を絶する世界の中で過ごす中で
おじいさんがこれは残したいと言ったものは多くありませんでした。
「仏具」「家族のアルバム」
これだけは、いくら濡れて変わり果てた姿になっていても、
大切に乾かし、大事に残すと仰られました。
人生を過ごす中で、本当に大切なものは
そう多くないのだと教えて頂きました。
頂いた学びを元に、自分の人生で何を大切にしていくのか。
それを決めて、大切にし続けられる環境とは何かを
考えていきたいと思います。
また続きます。
ミマモリスト
眞田 海