「聴福庵」では、五感が研ぎ澄まされ、
普段は気にならない「音」についても、
意識がはたらきました。
一昨日には、ちょうど大雨に見舞われましたが、
雨の音がよく聞こえるので、
窓の外を見なくても、雨の強弱が分かります。
他にも、虫の音や、たまに通る車の音、
外で人が話している声など・・・
静けさゆえに、部屋にいても、
普段は気にならない様々な音が、
入ってくるのを感じます。
現代では、窓を締めれば
室内の音は漏れず、
外の音もあまり入ってこないような
気密性のある住空間がほとんどですが、
昔の日本家屋はすきまだらけだったり、
また、昔の暮らしにはテレビなかったり、
外も今ほどにぎやかではなかったので、
こうして外から聞こえてくる音によって、
意識せずとも、周りとの繋がりを
感じやすかったのではないかと感じます。
そして特に、夜はとても静かで、
大きな音をたてることは、
近隣住民の迷惑になることがすぐに分かるほど。
そう思うと、このような日本家屋は、
常に、周りをおもいやれる環境にも
なっていたのかもしれません。
夜、スピードを出した車の音が聞こえると、
「こんな夜に、あんなに車をとばしてないで、
もっと静かに過ごしたらいいのに」と、
つい、思ってしまいましたが・・・
もしかすると、東京での暮らしのように、
人が、夜も賑やかな過ごし方へと変わったことで、
どこかに追いやられてしまった虫や動物たちも、
同じような気持ちだったのかもしれません。
音のある生活が当たり前の今、
暗さと共に、この「静けさ」についても、
見直していきたいと感じます。
かぐやかコーディネーター
宮前 奈々子