いつもありがとうございます。
カグヤの松野です。
先日お会いした方から、
「天然酵母のパンを作っているが、
生地がなかなか膨らまないので
パンを作るのが嫌になった」
というお話を聞きしました。
社内でも、リンゴや玄米が入った
楽健寺酵母のパン作りを行っているので
生地が膨らまない原因として、
いくつか思い当たる点を、その方にお伝えしました。
「酵母増しをするときの野菜が新鮮ではない」
「酵母が酸っぱくなってしまっている」
「温度が足りない」…など数々思いあたります。
こんな風に、原因を挙げる度、
ちょっと専門的にお答えできたような気になって、
どんどん鼻が高くなっていく自分がいました。
しかし、こんな話をしていた隣で…
自分の鼻があっさりと折れてしまうほど
ハッとさせられる出来事が起こりました。
それは、同じく楽健寺酵母でパン作りをしている
クルーの娘さんの一言でした。
楽しそうにパン作りの話をしながら、
「いつも、酵母さんに歌いかけながら生地を練っているよ」
と言うのです。
その言葉で我に返りました。
まるで、自分がパンの専門家のように
誇らしげにしていたことが
とても恥ずかしく思える体験でした。
「酵母さん」と感謝の気持ちで向いあう
彼女の真心こそ、大切であり、
その思いに酵母が美味しく応えてくれるのだと思います。
つい分かった気になって技術に流れてしまいますが、
分かった気にならないためにも、
初心を忘れない真心の実践を
大切にしていきたいと思います。
発酵コーディネーター
松野 寛子