こんにちは、女将です。
先週、クルー総出で福岡へ
古民家再生に行って来ました。
今回のメインは井戸掘りと風呂桶運搬です。
井戸はこれまでクルーが数回にわたり掘り進め
すでに水が涌き出るようになっており
この8日間で完全コンプリートを目指します。
風呂桶はというと、
当主が漬け物屋さんから譲り受けた
直径1.8mの古い木桶を
修繕してくださった桶屋さんから
ここ聴福庵まで自分達で運ぶという
パワフルミッションです。
飯塚から八女までその距離約65キロ。
道中、高速道路の走行という
予測不能の難関が待ち受けています。
しかも、今回の選抜メンバーは
我らが当主と女子ふたりに、
運搬用トラックを用意し
自ら運転手を買って出てくださった
当主の幼馴染のご友人の計4名のみ。
行きの車中はお茶とお菓子で
ピクニック気分が盛り上がります。
が、ほどなくして
フロントガラスに雨粒が落ちてきたかとかと思うと
瞬く間にバケツをひっくり返したような
土砂降りに変わったのです。
一同に不安が広がります。
なんとか高速を降りる頃には
幾分雨も落ち着いてはきましたが
桶屋さんに到着してもまだ降り続いておりました。
桶屋のご主人と、その師匠でもあるお父さん、
そしてご主人の奥さまが笑顔で出迎えるも
メンバーを確認するや否や、奥さまから
「隣のお兄さん呼んできて」 とすぐさま
お父さんに指令が出されます。
そして挨拶も早々に、この巨大な桶を横向きに立たせ
転がしながらトラックに積み込むという作戦が伝えられます。
とは言え、安全のためしばらくは天気待ちです。
ひとしきり談笑し終える頃ようやく雨が止み
心なしか空も明るくなってきました。
すると、今がチャンスとばかりに
桶屋の奥さんから作業開始の号令がかかります。
木材の足場に乗せられた桶の底に角材をかませ
テコの原理で持ち上げようとるのですが、
横にずれるばかりでなかなかうまくいきません。
そうこうするうちに
桶の片側が足場からずれ落ち斜めに・・・。
これはもしかしてイケる?!
いやいや、無理でしよ。。。。
そんな躊躇を覗かせる私たちに奥さまがひとこと。
「皆で押してみよか」
迷う隙は与えません。
「はい、上持って。そうそう、
一斉にいくよ、せーの!」
言われるがままに、
全員が渾身の力で桶の縁を押し上げます。
驚異のマンパワー!
見事、桶は横向きに立ち上がったのです!!
しかし問題はこの後です。
これを大人の腰より高い
トラックの荷台に乗せるのです。
荷台の縁に板を渡しあれこれ思案していると
お隣から見るからに逞しい男性ふたりが
助っ人として駆けつけてくださり、
なんと最強アイテムまで投入してくださったのです。
それからはプロの手さばきで、あっという間に
桶はトラックの荷台に積み込まれ、
私たちは、ベルトとロープで桶を固定するだけで
筑豊への旅支度を整えることができたのです。
お礼をと辺りを見回したときにはすでに
お隣のおふたりの姿はありませんでした。
まるで正義のヒーローのようです。
お伺いすると、その力強い助っ人さんは
2軒先のステンレス屋さんとのこと。
昔は桶を纏めていた鉄枠も
今では錆びにくいステンレス製なのだとか。
それ以外にも、ステンレスは色々なところで
建材として使われているのだそうです。
「クレーン車まで出していただいたのに
お礼も言えず申し訳ないです」
と桶屋のお父さんに言うと
「いいんだ、そんなのは。
うちの倉庫も、あの家も、
ここも全部あそこにやってもらったんだ。
多少お金は高くても、
昔からの馴染みのほうか安心だ。」
とおっしゃるのです。
助けを求められれば駆けつける。
もちろんそこには金銭の価値など存在しません。
互いに助け合い、補い合う。
そんな地域に息づく「絆」を見た気がしました。
ミッションパート
佐藤真樹
P.S
そうそう、桶は何事もなく聴福庵まで運び
待ち構えていた他のクルーも加わって
なんとか無事にトラックの荷台から下ろすことができました。
お風呂として活躍する日もそう遠くはないでしょう