こんにちは、女将です。
カグヤの古民家再生は、いまだ終わりが見えません。
先日もクルー総出で聴福庵に行って来ました。
今回は風呂小屋の瓦葺きに畑の草取り、
ついでに干し柿づくりと盛り沢山。
そしてここでの暮らしはちょっと不便。
聴福庵では朝は炭の火起こしから始まり
夜は炭火の始末に終わるという昔の生活スタイル。
お茶を飲みたいと思っても
囲炉裏の火がなくてはお湯も沸かせません。
もちろんご飯を炊くのもかまどです。
火力の調整も簡単ではなく
炊き上がるタイミングを見極めるのは
経験から磨かれた感覚のみ。
こうした炭火での調理はれなりに時間もかかります。
常に数歩先の予定を考えながら行動しなければ
三度の食事さえ儘ならなくなります。
そしてそれは食事だけでなく
暮らしのあらゆる場面に必要なスキルなのです。
聴福庵に来るたび、昔の生活には
それなりの計画性と適応力、
それと機転が不可欠だと感じます。
そんな暮らしだからこそ、自分で考え行動する
「生きる知恵と力」が養われた気がします。
普段の生活を通して自ら肌で学ぶ環境は
大人になって厳しい社会の中で逞しく生き抜く
自立への学びの場だったのではないかと思います。
あえて自分で考えずとも
難なく過ごせてしまういまの暮らしは
文句なしの快適生活。
ですが、日々生きることに懸命だった昔の暮らしは
人やものすべてをキラキラと輝かせ、
生命そのものに希望を見る気がして
ちょっと羨ましく感じたりもするのです。
ミッションパート
佐藤真樹