こんにちは。女将です。
箱根に、一部の温泉地区内のホテルや
温泉施設を巡回する送迎バスがあります。
区間内一律100円という超特価で、
観光客に大人気です。
ドライバーさんが乗車時に、
乗客全員に行き先を確認するのですが、
ドライバーさんは、そこそこの年配者。
全て覚えていられるわけではないようです。
思い当たる施設の近くにくると
「○○○荘さんに降りる方はいませんでしたよね?」
とか
「この後は○○○○ホテルさんと○○旅館さんでしたね?」
などと確認。
乗客の反応を伺いつつバスを走らせます。
皆が車窓の紅葉に見惚れ始めた頃、
「すいません、○○ホテルには止まらないんですか?」
との声が・・・・。
「ああ・・・・ちょっと待ってくださいね、
バックするようになっちゃいますが、そこで停まりますから。」
(ん?わざわざUターンしてくれるの?すっごい親切~)
誰もがそんなことを思ったに違いありません。
果たして、バスは少々行き過ぎたまま乗客を降ろし、
その降りた乗客がUターンしてホテルへ向かうことに・・・。
この一幕に、何故か方々から笑いがこぼれます。
先ほど降りた乗客も、恐縮するドライバーさんに
「ありがとう」と、とびきりの笑顔を残し
去っていきました。
ドライバーさんの柔らかな口調のせいか、
紅葉の色彩が奏でる魔法か、
はたまた、これも温泉の効能なのか、
人の心を癒すバスは、人と荷物に
ちょっとした思い出をプラスして
箱根の山を走ります。
誰かを送ることは、思い遣る気持ち。
誰かに送ってもらうことは、感謝の気持ち。
プラス・プラスの掛け算。
それは心地よい空間。
送迎の奥深さに心和むひとときでした。
ミッションパート
佐藤真樹