こんにちは。女将です。
昨年、生まれて初めてもち米を蒸しました。
自分でも驚いたのは
今までもち米を蒸したことなどなかったのに
その手順から蒸し上がりの感触まで
なぜか知っていたことでした。
しかも使用した蒸籠は、温泉街の店先などでよく目にする
お饅頭なんかを蒸している大きな四角い木枠の蒸籠です。
そんな料亭で使うような代物、これまで使ったことはおろか
触ったことさえありませんでした。
実家にあった蒸籠はステンレス製の丸鍋型で
正直、お餅は常に食べられる状態でしか
携わったことがありませんでした。
そんな親不孝な私でしたが
母を見ているうちに覚えたのでしょうか。
どうすべきかが感覚として身についていたのです。
夜、研いだもち米を水に浸し
翌朝それを、さらしを敷いた蒸籠に入れ平らにならし、
さらしの四方でもち米を包んだら蓋をしてセット完了。
あとは蒸籠を火にかけ蒸すだけ。
途中、何度かさらしの上から水を掛け
蒸し具合をチェックする。
蒸し上がりのタイミングは
さらしの上からもち米を押してみた際の弾力。
餅つきは時間との勝負。
「蒸し」から「つき」まで
熱いうちに終わらせねばなりません。
これも誰かから聞いたわけではありません。
感覚的に理解しているのです。
知らず知らずに母の後ろ姿に学んでいたのか
はたまた、日本人のDNAに刻まれた本能なのか・・・
それは定かではありませんが、
自分の中に遠く古(いにしえ)の記憶を見る気がして
たかがもち米を蒸すだけの、ほんの些細なことなのに
とても大切なことのように感じたのです。
ミッションパート
佐藤真樹