古民家「聴福庵」の玄関を囲う襖紙に、「唐紙(からかみ)」を用いれたら・・・ということで、
先日、京都の「アトリエ KIRA KARACHO(雲母唐長)」へ訪問し、実際に沢山の唐紙を見せて頂きました。
◆唐長の唐紙とは
http://kirakaracho.jp/about/karacho.html
アトリエでは、唐紙師のトトアキヒコ様が、唐紙や文様について、色々と教えて下さり、その背景や奥深さに目から鱗が落ちると共に、初めての唐紙にすっかり魅せられ、気持ちが高揚するほどでした。^^
また印象的だったのが、トト様の柔軟性でした。
そもそも「唐長」とは、寛永元年(1624年)に創業し、日本で唯一、江戸時代から続いてきた唐紙屋。
代々受け継がれてきた板木に、一つひとつ手仕事で和紙に文様をうつしとった唐紙は、文化財をはじめ、現代の暮らしにおいても壁紙や襖紙として用いられ、美しい日本の文化を伝えていますが、
そうは言っても、次第に暮らしが変化し、和室など襖のある家もなくなってきている今、それだけでは自分たちも唐紙も生き残っていけない・・・という危機感が。
また、襖や和室、日本家屋などに限定していては、海外の方では共感こそされても、実際に暮らしに取り入れられることも難しい・・・。
そんな中で「美しさを感じる心に、民族は関係ない」という強い想いから、大切に代々受け継がれた唐長文様という、時代や国、民族を越えた普遍美を表現するべく、現代アートの扉を開き、唐紙の新たな世界を築いたそうです。
・・・かと言って、トト様は、寺社仏閣など重要文化財の唐紙修復も同時に行っているそうで、
決して「伝統か、現代アートか」など、あっちかこっちかの議論ではなく、唐紙を通じて人々の幸せを願いつつ、ずっと続いてきた唐長の文化と精神性を世界と後世に伝えたい・・・という想いがあってこそ、「今」に合わせた柔軟さがあるのだと感じました。
何かに固執することなく、生き残るために自分を変えていく姿に自然を感じ・・・
自分自身も、「今」を直視し、過去にとらわれることなく、目的や理念から、自由に柔軟でありたいと感じます。
かぐやかコーディネーター
宮前 奈々子