引き続き、室礼での話になりますが、
今日伝わっている様々な年中行事には
「陰陽五行」の思想が残っていて、
室礼でも、盛り物に
それらを表していることが多くあります。
例えば、今回の七夕の室礼でも、
五色のそうめんを盛りましたが、
その五色は、
五行の「木、火、土、金、水」を表しています。
実はこの五行は、色(五色)だけでなく、
徳(五常・五徳)や方角(五方)、季節(五時)など、
あらゆるものに配当されていて、驚く程です。
(五行) (五色) (五常) (五方) (五時)
木 = 青 = 仁 = 東 = 春
火 = 赤 = 礼 = 南 = 夏
土 = 黄 = 信 = 中央= 土用
金 = 白 = 義 = 西 = 秋
水 = 黒 = 智 = 北 = 冬
こんな風に、一つひとつ意味があり、
儒教の根底になっているもののようですが、
日本人には、一つひとつというよりは、
「仁礼信義智の五常全部ある人が立派な人」
というかんじで・・・
丸ごと一緒にし、全体でアバウトにとっていくのが、
日本文化の特徴だと、先生は仰います。
全体の調和を大事にしていくのは、
日本人らしさの表れなのかもしれません。
室礼をしながら、
ひとつずつの道具や盛り物の説明を聴いていくのは
目から鱗でもあって、とてもおもしろものですが、
部分に捉われすぎず、感性をはたらかせながら、
全体でなんとなくくるんでいくような曖昧さや
調和を大事にしてみたいです。
かぐやかコーディネーター
宮前 奈々子