10月にある保育園に訪問させて頂いた時のこと。
こちらの園では、毎月「一円対話」に取り組んでいるのですが、その進行役でもある聴福人の先生たちから
「行事前など忙しくて一円対話を行う時間をとるのが難しい。クラスの人との話し合いもなかなか時間がとれていないのに・・・。」というご相談を受けたので、
「たまにはいつもの縦割りグループではなくて、同じクラスの先生たちでグループを組んでやってみるのもよいのでは?」とお伝えしていました。
すると、早速翌月の一円対話ではクラスごとのグループでやっていることを園長先生からお聞きしたので、更に詳しくお聞きしてみると・・・
一円対話の型となっている、最初のチェックシートの確認やルールカードも読まず、更には「席替え」や「仲間の長所」「自由テーマ」の話しなども省いて、いきなりメインテーマの「見守る保育を実践する中での気づき」のみを話してやっている・・・とのこと。
「それはフリーすぎて、もはや『一円対話』とは違うものになってますね・・・^^;」と園長先生と話しつつ、既にそのやり方で始まっているということだったので、「今月はこのまま先生たちが決めたやり方で全クラスやってみてもらい、その後でどうだったかを聴福人の先生から聞いてみましょう」とひとまず待つことに。
そして先日、聴福人の先生から11月分の議事などがFAXで届いたので、それをもとにお聴きすることができたのですが、聴いてみてビックリ!
各クラスごとの議事録を読んでみると「話しやすい」「共感が深い」「具体的な保育の改善点に繋がる」というメリットと、「他のクラスの話がきけないという面もある」「園全体の話がわからない」というデメリットと、皆さんからの様々な声がオープンにあがっていました。
結局、今月はこれまでどおりのグループでの一円対話を行うこととなりましたが、それでも、毎月行っているクラス会議ではいつも「しーん」というかんじだったのが、今回のスタイルだと「私から喋ってもいいですか」という人がいたりする程リラックスしていたことから、今後のクラス会議に今回のやり方を取り入れてみようなどと、見直しに繋がったり、
一円対話でも、よりリラックスできるように時には椅子を使わず地べたに座ってやってみたいとなったりで・・・
10月に訪問した時とは違って、そんな話を楽しそうに報告、相談される先生がとても印象的でした。
やっぱり自分たちで「やってみよう」とやってみるものは「やらされている」ものとは全然違うのかもしれません。
また、何よりすごいのは「やってみてどうだったか」を参加者の先生にちゃんと聴いていること。
すっかり聴福人さんとして育っていることを感じ、感動しました。
そしてそれと同時に「もしかすると自分が先生たちを型にはめていたのでは。」「制限をかけていたのは私かも。」「決めつけて体験を奪ってはいないだろうか。」などと、自分自身の先生たちへの関わり方、見守りなど反省点も沢山見えてきて、「もっと自分自身が信じて、先生たちが安心して体験できる方を優先していこう」と考えさせられるものがありました。
よく「見守る保育」に取り組む先生たちも「手を出さずに見守っていたら、子どもがこんなことまでできてすごいと思った。」「もっと子どもを信じてやらせてみればよかった。」などと話していたりしますが、まさに同じような感覚なのかもしれません。
「見守る」というものはマニュアルがあるわけでもなく簡単にはいきませんが、「子どもを見守る先生たちを見守る」という仕事は、課題や喜びなど先生たちとの共通点も多いものですので、だからこそ失敗も含め実体験を大事に取り組んで共感しながら、しっかり還元できたらと思います。
かぐやかコーディネーター
宮前 奈々子