いま日本でサードウェーブコーヒーが広がりをみせています。前回お伝えしたコーヒーショップもそのひとつです。

日本全国にすっかり定着した、深煎りの豆で風味を楽しむシアトル系コーヒーとは違い、コーヒー本来の価値を重視するサードウェーブコーヒーは、コーヒーを単なる日常の飲み物と捉えるのではなく、豆の品質、産地、焙煎に拘り、一杯一杯、ハンドドリップで丁寧に淹れるのが特徴です。

味や香りを楽しむワインのような芸術性を兼ね備えたこのコーヒーには、どこかおもてなしの心を感じます。

それもそのはずで、サードウェーブコーヒーの発祥とされるブルーボトルコーヒーでの提供スタイルは、日本での体験が基になっているというのです。

以前、その創業者が来日した際、街中の喫茶店に何気なく立ち寄ったそうです。

その喫茶店はどこにでもあるようなごく普通のお店でしたが、注文を受けた後、一杯ずつ手作業でドリップしているのを見て、特別なコーヒーを頼んだわけでもないのになんて丁寧なんだと、とても感動したそうです。

日本に暮らしていると当たり前になっていることが世界目線では感動的なことだったり、真似したいと思ってもらえるというのはとても嬉しいことです。

いまや「おもてなし」は「日本人の心」として世界に浸透してきていますが、中には贅を尽くすことが「おもてなし」と思っているような節が感じられたりもします。

そもそも「おもてなし」の原点は相手への真心であり思い遣りではないかと思います。

「誰かのため」を見失ってしまえば、それはただの自己満足に過ぎません。

そのことを肝に銘じ、常に真心を忘れずにいたいと思います。

ミッションパート
佐藤 真樹