新宿駅から会社まで続く地下道の一角にショーウインドウが設置されています。
「新宿プロムナードギャラリー」と名付けられたそのスペースは、都内の美術家や美術団体の作品展示や公益性のある展示を行うことで明るく快適で潤いのある歩行者空間の創出を目的として東京都道路整備保全公社によって管理されていて、半月ごとに写真や絵画など有名ではないけれど素敵なアーティストの作品や、都内の小中学校、専門学校生の作品などが絶えず展示されていました。
私はそこが何気に気に入っていて、展示作品が変わるたび足を止めじっくり堪能していたのですが、そのギャラリーが今月で閉鎖されることになりました。
確かにこの通りは都庁やオフィスビルに直結していることもあり、利用者のほとんどがサラリーマンやOLです。
横目にチラ見する人はいても、足を止める人はほとんど見かけません。
きっと皆さん1分も惜しいくらい忙しいのだろうと思います。
そんな忙しい日常だからこそ、ふっと別世界に浸れるあの空間が嬉しかったし、皆さんにもそんなひと時を感じていただきたかったのですが・・・。
もしかしたらギャラリーがあることすら気づいていない人もいるかも知れません。
足早にギャラリーの前を過ぎてゆく人を見ながら、ふと、今は日々暮らすこと事態が大変なの時代なのかも知れないと思ったりもします。
今回の閉鎖も色々な事情があってのことだとは思いますが、私にとってそこは心がほぐれるオアシスのような空間でした。
誰かからもてなされるわけでもなく、ただ作品が飾られている場所というだけのことなのですが、そこには設置者の歩行者に対する優しい気持ちが確かにあったように感じます。
実は街中をよくよく見回してみると、ビルの一角に花壇をつくってベンチが置かれていたり、公共トイレの洗面台にさり気なく花が飾られていたりと、皆に少しでも喜んでもらおうといった心遣いがたくさんあることに気づきます。
ただ意識しないと簡単に見逃してしまうのです。
きっと普段の生活の中でも誰かの思い遣りや気遣いをやり過ごしてしまうことは少なくないのだろうと思います。
どんなに日常に追われても、人の想いに気づける人間でいたいと思います。