こんにちは、女将です。
田舎の夜空には、いまにも落ちてきそうなほど満点の星が瞬いていました。
月が輝く夜は、その明かりだけで夜道を歩くことが出来ました。
満月ともなれば電気がなくても本が読めるくらいです。
毎日のようにそんな夜空を眺めて子ども時代を過ごしました。
上京して見上げた夜空は、街の明かりに照らされて霞んでいるように見えました。
曇り空なのかとも思いましたが、月がはっきりと見えていました。
その瞬間、「ああ、これが東京の空なんだ」と、とても寂しい気持ちになりました。
もういまでは東京での生活の方が長くなってしまい、悲しいことに、星のない夜空にもすっかり慣れてしまいました。
それでも習慣なのでしょうか・・・毎日、夜空を見上げてしまいます。
ここでも月は変わらず白く光を放って、地球が宇宙の中のひとつに過ぎないことを告げていますが、その輝きですらも街の明かりにかき消されその存在を忘れられてしまっているかのようです。
あるとき「今日は月がきれいだよ」と友人に言うと、「ホントだ。月なんて久しぶりに見た」と言いました。
よくよく周りを見てみると、多くの人が俯いて歩いています。
スマホを見ていたり、疲れていたり、理由は様々なのだと思いますが、俯いていては見えるものも見えません。
そうして見えないことが当たり前になって、見ないことが習慣になってしまったら、大切なものも見えなくなってしまうような気がします。
他人への配慮や、当たり前のことの有難さも、見ようとしなければ見えません。
星は昼も夜も変わらず空で輝いていますが、太陽や街の明かりがあると見えなくなってしまいます。
自分を照らす光で大切な星の瞬きを遮ってしまわないよう、常に心を澄ませていたいと思います。
ミッションパート
佐藤真樹