こんにちは、女将です。
今年の1月、福岡の聴福庵で新年会が行われた際に活躍したのが、およそ100年前の酒器でした。それに日本酒と乾燥フグひれを入れ火鉢でじわじわと温めた熱燗は、一口呑んだ瞬間に心も身体も一気にほぐれるような味わいでした。それからというもの、その全身脱力的な味が病みつきに・・・。
すぐさまフグひれと、それなりにいい日本酒を買い求め、陶器製の徳利で電子レンジでチン。悦びに震えつつゴクリ・・・・。あれ?こんなもんだっけ???レンジで温めたのがいけなかったのかも?と思い、チタン制の小さな鍋で温めてゴクリ・・・。あれれ?美味しいけどなんか違う。まず風情がない。味わいには見た目も大事かも?
しかし我が家にあるのは今時の調理器具ばかり。
そこで古い酒器を探し始めたのですが、素人の目利きでは品の良し悪しが全く分かりません。
これは経験豊富な当主に聞くのが一番と、品定めをお願いすることにしたのです。
手前味噌になりますが、わが家の当主は流石です。たった半月で良い品をネットのオークションで競り落としてくださいました!そして先日、ついに私の手元に!!
隅々をよく見てみると、ところどころに修繕の痕跡。その修繕はとても丁寧でパッと見ではわからないほどです。
品のそこかしこに深い愛情を感じます。これまでこの酒器が、どんな人の手を経てここへ辿り着いたのだろうなどと、遥か遠い過去に想いを馳せます。
ひとつの道具と、長い年月暮らしを共にする。
それはまるで、時空を超え見知らぬ誰かとひとつの物語をつくり継いでいくような気分です。「ものにも魂が宿る」と言いますが、それは作った人、使った人の「想い」なのだと感じます。有難くもご縁をいただいたこの「想い」を、まだ見ぬ誰かへいつの日か繋いでいけるよう、共に暮らす日々を大切に味わっていきたいと思います。
ミッションパート
佐藤真樹