福岡県飯塚市にある築120年の古民家『聴福庵』で2017年6月22日に始まった煤竹天井(すすだけ)プロジェクトですが、約1年掛かりで無事天井全てに煤竹を敷き詰めることができました。
富山にある築200年の古民家や、福岡県柳川にある古民家からも煤竹を譲り受け、『聴福庵』の厨房の天井に煤竹を敷き詰めました。
そもそも、煤竹の入手が難しかったりと言うこともありましたが、天井作業と言うこともあり足腰や首、背中など全身に掛かる体の負担もなかなかのものでした。
この煤竹、水拭きをするだけでも竹の模様が現れ美しいのですが、天井に敷き詰められるとまた趣のある雰囲気に様変わりします。
以前の天井は石膏ボードが使われ、無機質な雰囲気でしたが、元の姿を思い出せないくらい、今は煤竹の一本一本が天井を埋め尽くしています。
磨くほど輝きを放つ竹を眺めていると、「本当に200年前のもの?」と自分の目を疑いたくなる、そんなことを1年前思いました。
そして今は、時間が生み出す美しさや日本人が大切に守って来た暮らしの智慧にもまた美しさを感じ、ひと際輝いて見えます。
煤で手を黒くしながらの作業でしたが、心は晴れやかです。
天井作業をしていると目線は常に上を向き、目線を高いことで気づくこともたくさんあります。
子どもたちは、大人に比べると背が低く見上げることから、たくさんのものを発見しているのかもしれない、そんなことも思いました。そう思うと、背中が曲がって下を向いて暗くなるよりも、上を向いて前向くその大切さを煤竹天井から教えて頂きました。
ミマモルジュ
奥山 卓矢