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生きているから味が変わる

昨年の9月から、楽健寺(らっけんじ)酵母という天然酵母をつかったパン作りをはじめました。

 

きっかけは、月に一度行われる初心会議でクルーがこの酵母を使って、作って来てくれたパンに衝撃を受けたことから、酵母を譲り受け私もはじめました。

 

楽健寺酵母とは、酵母にりんご、にんじん、山芋、玄米を元にして発酵させた天然酵母のことを言います。

 

週に1度か、2週に一度は酵母増しを行っていたのですが、ここ最近つくるパンがやけに美味しいのです。酵母増しのやり方は、何も変わっていないのですが、思えばだんだんと暖かくなり、酵母にとって働きやすい環境になってきているのではないかと感じています。

 

人間も同じく冬になると体が縮こまりがちですが、春になると気持ちも前向きになっていくのと同じように、酵母も生きていますから、味がその時々によって変わることも自然なことなのだと感じます。

 

毎日食べても飽きの来ない味で、美味しく食べていましたが、パンの膨らみ具合というよりも、ぎっしり感やパンの甘味から、酵母が生きていることを改めて感じました。

 

同時に思っていた以上に発酵がしきっていなかったり、発酵していく様子をちゃんと見守っていなかったり、発酵しやすい環境ではなかったことに気付かされます。美味しいパンが焼けることは嬉しいことですが、それ以上に「生きているから味が変わるのだ」と当たり前のことなのかもしれませんが、そのことに気付けたことに喜びを感じています。

 

そして、こんなにも生活に馴染み、続いていたのだと振り返ると感じます。まさか自分がパン作りをするなんて考えてもいませんでしたが、玄米を食べ、重ね煮を作るという生活習慣があったからこそ、楽健寺酵母は私にとって定着しやすかったのだと思います。

 

年々暮らしが豊かになっていることを味わい、日々の暮らしを大事にしていきたいと思います。

ミマモルジュ

奥山 卓矢