聴福庵で一晩を過ごすと、その空気の良さに驚きます。
密閉建築ではほとんど、窓を閉めれば空気が動きません。
そして、空気を入れるには窓を開けるしかありませんが、
家の一部から入ってくる風は、強すぎるか、弱すぎるかどちらかで、
過ごしやすくありません。
窓やドアを開けて通る「ヨコの風」は、その時の外の風に
吹きつけられるだけです。
聴福庵で過ごすと、大きく窓やドアが開いているわけではありませんが、
密閉されている箇所がありません。
そして、「ヨコの風」だけでなく、下から上への「タテの風」もあります。
地面と家との温度差によるタテの風が常にあります。
この「タテとヨコ」の風が存在する聴福庵の中にいると、
家が「呼吸」していることを実感します。
強い風があるわけでもなく、密閉されているわけでもなく、
常に空気が微妙ながらに動いている。
そんな中だからこそ、居心地の良さや眠りの深さにつながるのかもしれません。
日本建築は日本の気候に合わせた智慧が詰まった建築です。
その素晴らしさを改めて実感しています。
ミマモリスト 眞田 海