本日から七十二候の第五候「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」に入りました。
難しい漢字の「靆」は「たなびく」で、霞や雲が層をなし、薄く長く漂っている様子を表し、
「霞始靆」は、本物の春が近づき気温が上がり大気中の水蒸気が増え、野山の塵が増えてきて遠くの山や景色がぼやけて見える春霞がたなびき始めてくることを意味するそうです。
言われてみると、和楽から見える山の景色もちょっと霞がかっています。
昔の人は、山々の裾野にうっすらと広がるこの春霞のことを、春を司る神様「佐保姫 (さおひめ)」がまとう着物の裾に例えたとか。
また、春に出る霧を霞(かすみ)と呼び、夜の霞は朧(おぼろ)と呼びますが、ぼんやりとかすんだ風景にも美を見い出すのは、日本人の繊細な感性ですね。
ついつい、花粉や黄砂、PM2.5などに憂鬱な気分になりがちですが、昔の人に倣い、美を見出す意識を大事にしていきたいものです。
かぐやかコーディネーター
宮前 奈々子