助長とは

「孟子」公孫丑上の故事「助長」にこんな言葉があります。
 
『原文』
 
宋人有閔其苗之不長而揠之者。
芒芒然歸、謂其人曰、今日病矣。
予助苗長矣。
其子趨而往視之、苗則槁矣。
 
意訳ですが
『宋の国の人で、苗がなかなか成長しないのを憂いて苗を引っぱった者がいた。
作業を終えて、男は疲れ果てて家に帰ってきて、家の人に言った。
 
「いやー、今日は疲れたよ。苗を引っぱって長く伸びるのを助けてやったんだ」
 
息子が仰天して田に走っていった。
苗を見たら、案の定ぜんぶ枯れていた。』
 
助長の語源となったそんな一文です。
 
助長の意味は
 
http://chugokugo-script.net/koji/jochou.html
 
「力を貸して成長・発展を助けること。
ある傾向をさらに大きくすること。助けることでかえってダメにすること。」
こうあります。
 
この言葉にある
「助けることでかえってダメにすること。」
ここに、重要な教えが含まれているように感じます。
 
見守る側への教えとしては
 
伸びようとしていることを信じているだろうか。
伸びようとすることを邪魔する環境はないだろうか。
自分自身のその存在が邪魔する環境になっていないだろうか。
 
育つ側への教えとしては
 
自らが育つと信じているだろうか
見守られていることを信じているだろうか
自らで伸びようとしているだろうか
誰かに引っ張ってもらおうと思っていないだろうか
 
そんな教えがあるように思います。
 
育ちはお互いがお互いに、
自らに矢印を向け、お互いを信じあう。
 
そんなプロセスが育むのかもしれません。
 
 
松下幸之助氏は
 
「ぼくは物事がうまくいったときは皆のお陰、
うまくいかなかった時はすべて自分の責任」
 
そう仰います。
 
それは、自然の摂理の中で掴んだ本質なのだと感じます。
 
 

 
ミマモリスト 眞田 海