聴福庵で冬用の灯油ストーブのさび落としと塗装をしていたところ、
ご近所の奥様が話しかけてくださいました。
100年も前のストーブがまだあることに驚いていらっしゃったり、
それがおしゃれであることに驚いたり、
それを直して使おうとしていることに驚いたり、
一通りお話をお聞きいただいた後に不安そうな顔で、
「それでこの施設は何をするところなの?!」と聞かれました。
「もったいない」ということの大切さや
「ものを大切にする心」や様々な暮らしに現れる姿勢を
子どもたちに教えようと思っても、
言葉や授業で教えても中々伝わらないからこそ、
体験して気づいてもらえる場を作りたい。
日本の様々な技術や智慧が伝承できるように、
この家の再生や永遠に続く修繕という機会を使って、
様々な職人さんの技術や智慧の伝承道場としていき、
私たちも学び、子どもたちに体験できる場にしたい。
そんなことをお伝えすると、
「やっとわかったわ!あなたたちのやりたいことが!若いのになんて素敵なことをしているのかしら!」
と、急にとても嬉しそうなお顔に変わり、
そのまま竈づくりを見に来てくださいました。
お体が悪く、あまり外には出てこれないという奥様でしたが、
聴福庵では色々とお話をお聞きいただけました。
帰り際にも
「私、本当に驚いたわ、お風呂の建築の件も、
いくらでも騒がしくしてもらって構わないから頑張って頂戴ね、応援しているわ、
また見せて頂戴ね。」
と満面の笑みで応援をしてくださいました。
改めて自分たちの想いや本気さは
「言葉」だけで説明することは難しく、
姿や実際を見て頂くということの有難さを実感します。
また同時に、
「想いを込めて動いている姿」や「本気で取り組んでいる姿」を
見て頂いたり、体験していただくだけでは、
「何をしているか」はわかりますが「何のためにしているのか」という「目的」
が見えません。
また、その「目的」も「自分たちの想い」や大切さばかりを伝えても、
社会や世間さまにとっての「大義」が分かりやすく、聴く人にとって身近でなければ
相手には伝わりづらいのだと感じます。
改めて発信していくときの軸足を「自分たち」に置くのではなく
「世間様」に置くことの大切さと難しさを今日は学ばせて頂く機会となりました。
ミマモリスト
眞田 海