ミマモリストの実践

ミマモリング=心を寄せること。

カグヤでは一緒に働き、一緒に生きる中で、お互いに心を寄せ、思いやることの大切さと、そこで生まれる感動や豊かさを大切にしたいと思っています。ただ仕事をするのではなく、自分の心の環境がそのまま仕事に表れるからこそ、「心を寄せること」を大切にしていきたい。そんな「ミマモリングを実践していく人々=ミマモリスト」の取り組みをご紹介いたします。

2017/11/05

「折り返しの鍛錬」

自宅で使っている包丁の中に一本だけ砂鉄から作る
「たたら製鉄」という日本古来の鉄の作り方で出来たものがあります。

たたら製鉄で作られる上質な鋼の部分を「玉鋼」と呼び、
主に日本刀を作るために使われます。

そもそもは包丁に使われるものではないので、
日本刀を作る際に出たあまりの鋼で包丁が作られるようです。

また、玉鋼自体も現在では日立金属一社のみの製造で、
出来上がった玉鋼は刀匠しか購入することはできません。

今は安価な鋼が出回っているので、
玉鋼で作られる包丁は市場から消えてしまったそうです。

この包丁も、堺の有名な鍛冶職人さんだったようですが、
お店は現在は存在していません。
(一説によると、高倉健さんもこの包丁を愛用していたそうです)

でもこの包丁、言ってしまえばちょっと「扱いづらい」んですね。

今日も研いでみると、ほかの包丁と材質が違うからか
研ぎ方が難しく、なんだか時間がかかるというか、
コツがわからないというか。。。

一層集中して研がないといけないのですが、
お陰で身が引き締まる思いです。

また、面白いなと思うのは、
今の海外からくる鋼は不純物が少ないものの
折れやすく、欠けやすく。。。
不純物自体を悪玉と捉えるのに対して、

和鋼の場合は折り返し鍛錬によって地質を生きかえらす
善玉としてとらえられていることです。

不純物を悪にしない。
そのまなざしがどこか日本人の智慧であるように感じ、
そして日本刀という世界が称賛する柔らかで鋭く、
強いものが出来上がったのだと思います。

自分自身も自分を丸ごと受け入れて、
折り返し鍛錬のもとに、柔軟な人間になっていきたいと思います。

lo

ミマモリスト
眞田 海