カグヤが田んぼをお借りしている千葉の藤崎農場さまから種籾の温湯消毒をしたとの一報が届きました。
いよいよ春到来、今年の米作りスタートです。
昔と違って稲作も徐々に楽にはなってきているとはいえ、やはり安心安全の美味しいお米を作るとなるとそれなりに手間暇はかかるものです。
この温湯消毒では、種籾を60度のお湯に10分間漬け消毒します。
そうすることでカビや細菌によるばか苗病やいもち病、苗立枯細菌病などの発生を防ぐことができるのだそうです。
いわゆる熱湯消毒といったところですね。
でもこれが意外に大変で、温度が高すぎても時間が長すぎても種籾が死んでしまいますし、逆に温度が低すぎても時間が短すぎても細菌は死にません。
温度と時間を正確に見極めながら少量ずつ消毒していきます。
農薬を使えばもっと簡単に短時間で消毒することが出来るようですが、近頃は食に対する安全・安心志向が高まっていることから、こうした農薬を使わない農法を取り入れる農家さんも少なくないようです。
他にも熱水や蒸気を用いるなど消毒方法は様々で、80℃10分間の処理では一部を除くほとんどの細菌、ウイルスを、生物に感染できない水準まで死滅させたり不活性化することができるのだそうですが、藤崎農場さんではあえて死滅させる「滅菌」ではなく「減菌」させる消毒方法をとっています。
この「滅菌」はすべての微生物を対象としていて、その全てを殺滅するか除去してしまいます。
しかし「減菌」は対象となる微生物の数を減らすことが目的で、滅菌とは違い全ての微生物を殺滅するわけではなく、消毒により病気が発生しない水準まで殺滅または減少させることができます。
あらゆる自然の力を借りなければ植物も生き物も育ちません。
もちろん微生物の力だって必要です。
農薬でその微生物を死滅させてしまったら、その役目を補うためにまたさらなる農薬を使うことになります。
そうして農薬は少しづつ土に蓄積していき、いつしか生き物も住めない養分の枯渇した田んぼになってしまうのです。
藤崎農場さんでは23年前から完全無農薬の米作りをしていますが、田んぼから農薬の影響を消し去るには少なくとも3年以上はかかるとおっしゃっていました。
正直、無農薬の米作りは本当に手間がかかります。
その年ごとの気候や手間のかけ具合によって収量も大きく変わってしまいます。
それでも収穫できたお米はとびきり美味しくて、これこそが「天からのご褒美」と思えるほどです。
もうすぐ種蒔きのシーズンです。
今年も生き物いっぱいのむかしの田んぼで実践を深めていきたいと思います。
↓藤﨑農場さんのホームページはこちら↓
http://www.fujisakifarm.com/index.html
ミッションパート
佐藤真樹